2016年2月28日日曜日

英文執筆のステップアップ by ブルーへルマンス先生


2月26日~27日に人材開発センターが中心になって東京医科大学、医学教育学分野のブルーヘルマンス先生をおよびして論文執筆のステップアップレクチャーを開催しました。

東京医科大学 医学教育分野
Raoul BREUGELMANS

ブルーヘルマンス先生は雑誌の編集顧問や英文校閲などをされていて、国際外科学会日本支部総会などでもランチョンセミナーを行われています。26日は論文執筆の際によくある質問についての解説などのレクチャー、27日はよくある英語の間違いを実際に修正する形でレクチャーを行いました。

詳しい内容は国際外科学会日本支部総会のランチョンセミナーでのスライド等に譲りますが、受験英語を習うことはあっても、英語論文の書き方を習う機会はほとんどないため、大変勉強になりました。院内Closedですが、来年も開催されると思います。


そのほか、レクチャーで個人的に一番気になったのは下記です。


日本語で投稿した論文を英文雑誌に投稿できるか?

これは無理だと思ったのですが、いくつかの条件をみたせば投稿できるというのも非常に勉強になりました。

基礎研究などであれば英語で発表した方がよいと考えていましたが、例えばある病気に関する臨床研究や症例報告を発表するとします。
その病気が日本で多い病気であれば、その臨床研究・症例報告を読んでほしいターゲットオーディエンスは日本人になるため、論文を日本語で書きたくなります。
もちろん日本で多い病気とはいえ、海外の人がまったく興味がないわけではないですし、日本で患者数が多ければ日本の研究がその領域の先進的な領域になりますし、必然、英文雑誌にも通りやすくなります。(英文雑誌ならImpact factorもつきますし)

*架空の話です。

そういう時に日本語と英語の雑誌、両方に載せられればよいですよね。
日本語で投稿した論文を英文雑誌に投稿する条件についても、ICMJE(国際医学雑誌編集委員会)がAcceptable secondary publicationのセクションで規定しています。


個人的に意外だったのは4番です。時々、日本語で発表したのとちょっと違う内容にしたら英文雑誌に投稿してもいいんじゃないか、みたいな話を聞いていましたが、二重に発表する時には、完全に内容が一致することが大事なようです。

2016年2月20日土曜日

臨床研究におけるバイアス

臨床研究はさまざまな薬・治療の効果を評価しています。
その研究結果をもとに患者へ医療を提供するかどうかの判断を行うわけですが、そのもととなる研究結果がさまざまなバイアスで結果がゆがめられてないか?というのは非常に問題になります。

バイアスって何?
臨床研究に書いてることは正しいんじゃないの?

という疑問もあると思います。
自分自身が医学部5年のころの病棟実習や、研修医1年目のころは、論文をわたされたら全文訳して結果をうのみにして、(で、上の先生につっこまれる)ようなことをしてました。


バイアスはいろいろな種類があります。


この論文を読んで、どれだけたくさんバイアスがあるのだろう・・・と混乱した記憶があります。最近ではバイアスを

  • Selection bias
  • Information bias
  • Co-factors

の3つに整理してることも多いみたいです。

バイアスをなるべく分かりやすく、かつ具体例をあげながら説明できないかなと思ってまとめてます。院内用のスライドの予定でしたが、残念ながら院内でシェアする機会がまだないので、いずれしたいなと思いつつ・・・。




2016年2月6日土曜日

利益相反(COI: Conflict of interest)について

臨床研究を行う際に必ず問題になるCOI(Conflict of interest)、利益相反。学会などでも発表スライドの2枚目に必ず提示が必要になるなど、随分普及してます。例えば日本内科学会はパワーポイントプレゼンテーションでの利益相反提示例をHPで公開してます。




* 開始時すべき内容のみの記載になりますが
どんな項目があるか分かるようにするた全部のせてます。


最近では企業などとの金銭的な利益相反に限らず、アカデミックCOI の公開なども議論がされてます。企業がある薬の研究する時に、その薬がより効果的であってほしいと願うのと同じように、研究者は自分が行っている研究についてよりよい効果を期待してしまうため、研究者自身が過去にどのような研究をしてるかとかも公開した方がよいようです。

ただ、実際のところ何が利益相反なの?
利益相反はあったらだめなの?
どっからが利益相反になるの?
などいろいろ疑問が生じると思います。実際によくわからないから利益相反 COIありません、なんて書きたくなることもあるかもしれません。

そういう方のために大阪大学の原正彦 先生が利益相反について簡単にまとめたスライドを公開してます。




ちなみに内科学会はCOI指針・細則の策定とその後の運用に関するQ&AがHPにあったりします。
消化器病学会のQ&AはQuestionが多くて内科学会より見やすいかもしれません(Questionが大量すぎてちょっと見るのが大変そうですが)。

実際に臨床研究を行い、また論文として発表するのであれば、ICMJE(国際医学雑誌編集者委員会)が規定しているCOIの報告書式を、研究を始める前に一度目を通しておくと安心かもしれません。
大鵬薬品のHPで日本語訳してくれたのもあるので、楽したい方はこちらを。