2015年10月21日水曜日

11月21日 臨床研究特別ワークショップ@倉敷中央病院(コクランライブラリーワークショップ)

1121日に臨床研究支援センター主催で、コクランライブラリーに関する臨床研究特別ワークショップを開催します。

患者さんに医療を行う際にはその医療行為を行った方がいいのか、もっといい方法はないのか悩みますが、コクランライブラリーは日常診療でよりよい判断を行うため、信頼のできるシステマティックレビューを作り、どの治療がどのくらい安全で有効な治療なのかの情報を医療者や患者さんに提供しています。


ただ一方でコクランライブラリーのサイトは英語です。「医療者として最先端しるなら英語ができなきゃいけない」というのももっともですが、やっぱり日本語に比べれば英語は読みにくい。
実はコクランライブラリーの提供するシステマティックレビューはページ数は多いですが、その内容はどこに何を書くか、論文の書き方・順番が決まっています。つまり、一度コクランライブラリーのレビューの作り方・仕組みをしっていればより簡単に論文が読めるわけです!

今回のワークショップではコクランライブラリーのシステマティックレビューがどのように作られているか学ぶため、日本コクラン支部の大田えりか先生をおよびしてコクランライブラリーに関するワークショップを開催します。

題材は「風邪(急性気管支炎)に抗生物質は意味があるの?」

風邪をひいた時に抗生物質使ったら劇的改善したよ! とか。
いやいや、抗生物質なんて使わないでしょ。 とか。
いろいろご意見あると思いますが、じゃあ実際のところ論文の中でどう評価されているのかコクランシステマティックレビューを読んでみます(一部作る手順もします)



当日は英語資料だと大変なので日本語資料を準備する予定です。「風邪に対して抗生物質効くの?」というのを知りつつ、しかもコクランライブラリーについても学べてしまう。こんなワークショップ参加どうでしょう。皆様の参加をお待ちしています。

日時:1121() 13時~19
場所:倉敷中央病院研修棟
対象:医療関係者(職種問わず興味のある方)
問い合わせ・申し込み:臨床研究支援センター kurari-net ★ kchnet.or.jp(★を@に変更してください)
*ワークショップ形式のため事前参加申し込みをお願いします。名前・所属を記載のうえ上記アドレスに送ってください。


2015年10月18日日曜日

第3回CASP関西ワークショップ

日常診療では過去の経験(論文)をもとに得られたエビデンスに基づいて診療を行います。最近では個々の論文をより信頼の高いものにするために、Reporting Guidelineなどを用いて何を論文に書くべきかがきめられています。

また、個々の論文をすべて臨床を行うわけにもいかないため、どういう診療をしたらよいか個々の論文をまとめられた診療ガイドラインがあります。個々の研究をReporting Guidelineで研究の仕方を均一化したのと同じように、診療ガイドライン自体もより信頼性を高くするために作り方をきめましょうということで最近ではGRADEシステムを用いて診療ガイドラインを作成するような流れになっています。

ところで、なんとなく診療ガイドラインは正しいもの、それに従って診療しないと訴訟問題になってしまうのではとか、学会が作成した診療ガイドラインだから、偉い先生方が作成したから正しいに違いない、と思ってないでしょうか。もしくは実際に診療に使用し難い診療ガイドラインに遭遇して苦しんだことないでしょうか。

今回の関西CASPワークショップでは、現在存在する診療ガイドラインがちゃんと妥当性をもって作成されているかAGREEⅡという評価システムを用いて評価する内容で開催されました。

AGREEⅡ 日本語版(使用版)

日本ではMinds医療情報サービス-でガイドラインが公開されていますが、このガイドラインはAGREEⅡで評価され一定以上のもののみ公開されているようです(それでも日本のガイドラインの質は低いようですが)

先日は日本蘇生協議会からJRC蘇生ガイドラインが公開されましたが、このガイドラインはGRADEシステムにのっとり、非常に質の高いガイドラインのようです(GRADEワーキンググループの相原先生によるJRCガイドラインの評価)。今後は信頼性の高いガイドラインが増えてくると思われますが、診療ガイドラインを全て盲目的に信じればよいわけではないこと、診療ガイドラインの評価にはAGREEⅡというものがあるのは知っておいてもよいのかなと思います。

2015年10月3日土曜日

コクランコロキウム

10月3日からウィーンで開催されたコクランコロキウム2015に参加してきました(学会HP)。コクランは(Cochrane)はランダム化比較試験を継続的にすべて集めたり、その集めたデータをもとにシステマティックレビューを行ったりすることで、医療者や患者、政策決定者等がより妥当性の高い判断を行うことを目的とする団体です。

About Cochrane(Cochrane Libraryのページより)

安全で有効な医療を提供することは大事ですし、そのためには信頼のおけるデータ(論文)が必要となってきます。コクランでは個々の医療がどのくらい安全なのか、有効なのかを評価するために、システマティックレビューを継続的に作成しています。今回のコクランコロキウムでも、どういう手法がシステマティックレビューが必要か、現状の手法は何が問題なのかといったワークショップがたくさん行われていました。

今回の学会で話題になったうち面白かったのは、コクランレビューの翻訳事業についてでした。

コクランライブラリーでは●●の疾患に対してどの治療が有効か? という疑問に答えるためにたくさんのシステマティックレビューを作成しています。実際、このシステマティックレビューは診療ガイドラインの根拠になっていたりと信頼性は比較的高いものです。よく論文によっては本を買わないと内容が読めないことが多いですが、コクランのシステマティックレビューをより多くの人にレビューを読んでもらうため、システマティックレビューが作成されてから1年たつとOpen Accessになります。
ただ、問題としては英語であること。実際、英語やスペイン語などの主要言語は世界の4割近くで使用されていますが、残り6割の人々は日本語をふくめたマイナー言語で生活しています。
よりよい医療を行う上で、それぞれの薬や治療がどのくらい効くかについて、医療者が知っておくことはもちろんですが、患者にも知ってもらうことが重要です。そのためにどのようにシステマティックレビューを翻訳するかというのが議論されていました。ちなみに日本ではMinds(マインズ)ガイドラインセンターが一部のシステマティックレビューを翻訳しています。

インターネットで病気のことを調べる患者さんは多いですし、テレビでは病気特集も時々くまれます。一方でネット、テレビで入手できる医療情報は玉石今後でどれが信頼できるか判断に悩むことがあります。コクランレビューがすべて信頼できるか?という疑問はあるものの、その多くは信頼できるものであり、今後の翻訳事業は面白そうだなと思って参加してました。


・・・翻訳事業とは別ですが、コクランコロキウムのプレナリーはYoutubeで公開されてます。
このyoutubeは従来の疫学と異なるビッグデータを用いた研究を、従来の疫学とどう結びつけ信頼できる医療情報とするかのプレナリーだったと思います。ほかにもプレナリー公開されてるのがあるので興味ある方は是非。