2015年8月19日水曜日

論文の批判的吟味&ブラッシュアップ(脳低温療法児の予後評価) Part2

先日は倉敷中央病院で行われた過去の研究でしたが、似たような研究があったのでそっちの紹介です。


前回の研究は低体温療法が行われた児の予後をみていましたが、今回の英語の論文は出生時にアシドーシスがあったけれども神経学的所見に問題なく低体温療法を行わなかった児の予後についてまとめた研究です。



倉敷中央病院シニアレジデントから報告された論文と比較すると、それほど異なった解析をしているわけではなさそうです。(専門家からみると研究を実際するときの難しさ、興味がすごくわくかどうかなどの違いは分かりませんが)
この論文で注目してみたいのは、対象者の記載です。

倉敷中央病院からの論文では対象者を「低体温療法を行った児」と解析を行った対象のみを記載していますが、DuPontらの論文では、「低体温療法を行わなかった児」だけでなく、出生した46887児のうち、最終的にどういうプロセスを最終的に解析した「低体温療法を行わなかった児」が選ばれたのか下記のような図で記載されています。

前回の勉強会で選択バイアスについて書きましたが、選択バイアスの影響をできる限り除くためには、その研究を行った際にどのようにして対象者が選ばれたのか記載することが対処のひとつです。DuPontらはそのために、わざわざ89人の解析をするために4万人の元データまでたどっているのがわかります。



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