2015年10月3日土曜日

コクランコロキウム

10月3日からウィーンで開催されたコクランコロキウム2015に参加してきました(学会HP)。コクランは(Cochrane)はランダム化比較試験を継続的にすべて集めたり、その集めたデータをもとにシステマティックレビューを行ったりすることで、医療者や患者、政策決定者等がより妥当性の高い判断を行うことを目的とする団体です。

About Cochrane(Cochrane Libraryのページより)

安全で有効な医療を提供することは大事ですし、そのためには信頼のおけるデータ(論文)が必要となってきます。コクランでは個々の医療がどのくらい安全なのか、有効なのかを評価するために、システマティックレビューを継続的に作成しています。今回のコクランコロキウムでも、どういう手法がシステマティックレビューが必要か、現状の手法は何が問題なのかといったワークショップがたくさん行われていました。

今回の学会で話題になったうち面白かったのは、コクランレビューの翻訳事業についてでした。

コクランライブラリーでは●●の疾患に対してどの治療が有効か? という疑問に答えるためにたくさんのシステマティックレビューを作成しています。実際、このシステマティックレビューは診療ガイドラインの根拠になっていたりと信頼性は比較的高いものです。よく論文によっては本を買わないと内容が読めないことが多いですが、コクランのシステマティックレビューをより多くの人にレビューを読んでもらうため、システマティックレビューが作成されてから1年たつとOpen Accessになります。
ただ、問題としては英語であること。実際、英語やスペイン語などの主要言語は世界の4割近くで使用されていますが、残り6割の人々は日本語をふくめたマイナー言語で生活しています。
よりよい医療を行う上で、それぞれの薬や治療がどのくらい効くかについて、医療者が知っておくことはもちろんですが、患者にも知ってもらうことが重要です。そのためにどのようにシステマティックレビューを翻訳するかというのが議論されていました。ちなみに日本ではMinds(マインズ)ガイドラインセンターが一部のシステマティックレビューを翻訳しています。

インターネットで病気のことを調べる患者さんは多いですし、テレビでは病気特集も時々くまれます。一方でネット、テレビで入手できる医療情報は玉石今後でどれが信頼できるか判断に悩むことがあります。コクランレビューがすべて信頼できるか?という疑問はあるものの、その多くは信頼できるものであり、今後の翻訳事業は面白そうだなと思って参加してました。


・・・翻訳事業とは別ですが、コクランコロキウムのプレナリーはYoutubeで公開されてます。
このyoutubeは従来の疫学と異なるビッグデータを用いた研究を、従来の疫学とどう結びつけ信頼できる医療情報とするかのプレナリーだったと思います。ほかにもプレナリー公開されてるのがあるので興味ある方は是非。


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